3ムの解消
では具体的にはどうやって解決して行くのかを考えていきましょう。
◆ムリ
生産負荷に対して生産能力が劣るのはなぜ?
→生産工程にムダがあるのではないかを考えます。作業内容にムダがあり生産能力が落ちているのでは無いか?などを考えて効率化を考える。
◆ムダ
生産負荷に対して生産能力に余剰、過剰が発生してしまうのはなぜ?
→前工程に生産のムリがあり後工程荷送る作業量が不足している。または、作業負荷の分配が適当でないなど。
現状の作業負荷に対して発生した余剰能力の運用を考える。
◆ムラ
各工程に作業負荷のばらつきがあるのはなぜか?
→ムダ取りが十分であるか?また作業能力の分配は適切であるか?
これらは一例であり、業種や作業環境によって千差万別です。一概にこうすればいいという万能薬的な方法は存在しません。
工数の削減を具体的に説明した話を以前聞いたので紹介しておきます。
100通の封筒
100通の封筒に書面を3つ折りにして入れ糊付けをするという作業を、何枚かまとめておるという作業を禁止した場合、折る、入れる、封をするという3つの作業を100枚折って、100枚入れて、100枚封をすると工程ごとにまとめてやった場合と、折る、入れる、封をするの1連の作業を100セットで行った場合どちらの工程が少なくなるでしょうか?
答えは1連の作業でやったほうが工程が少なくなります。
その理由を工程を書き出して説明していきます。
まずまとめ作業から
1.手紙を取る
2.手紙を折る
3.手紙をおく
4.封筒を取る
5.手紙を取る
6.手紙を入れる
7.封筒を置く
8.封筒を取る
9.封筒に封をする
10.封筒を置く
の10工程になります。
まとめ作業の区分けは色でわかるようにしました。
一連の作業にした場合。
1.手紙を取る
2.手紙を折る
3.封筒を取る
4.手紙を入れる
5.封筒に封をする
6.封筒を置く
の6工程になります。
この2つを比較すると、まとめて作業した場合は次の作業にそのまま入れないので置く、取るという動作が増えます。
これはまた別の機会に話しますが7つの無駄【かざふてつどう】で言うところの、仮置きのムダ、在庫のムダにあたるものです。
では、まとめ作業をしたときの工程を見直してみましょう。
1.手紙を取る
2.手紙を折る
3.手紙をおく
4.封筒を取る
5.手紙を取る
6.手紙を入れる
7.封筒を置く
8.封筒を取る
9.封筒に封をする
10.封筒を置く
赤太字にしたところが一連の作業にしたときに発生しない工程です。
これがムダな工程ということになります。
単純にこの作業をするのであれば一連の流れでやるほうがムダがないということになりますね。
さてこれを複数人で分担するとどうなるのかまとめ作業を分担する形で見ていきましょう。
まず作業の負荷を便宜上決めておきます。
A.手紙を折る人x3
B.封筒に入れる人x1
C.封をする人x1.5
としておきます。
手紙を1枚折る間に3つ封筒に入れることができるということですね。
これを各一人で分担して作業をした場合、Aを基準としたときにB,Cは生産能力のムダが発生します。
Cを基準としたときにはAにムリがBにムダがあることになります。作業全体ではムラがあると言う状態ですね。
これらを平準化するには人員(リソース)を増やすことで平準化していけます。
完全に平準化するには
A.手紙を折る人(6人)×0.5
B.封筒に入れる人(2人)×0.5
C.封をする人(3人)×0.5
となります。
今回は単純な作業の例なので人員ですが、実際にはこんなにはっきりした数値の差があるわけではないので、個々の作業の中でも3ムを取り除いていくことで平準化を図るのが基本です。
最少人数で最適化するならばAを二人にするところでとどめ、AとCの作業時間のムリを軽減できれば、結果的にBの作業時間のムダが解消されるわけです。
以下の様に考えると
□=負荷 ◇=ムダ
A│□□□
A│□□□
B│□□◇
C│□□□
AとCの負荷を改善して低減できたとすると
□=負荷 ◇=ムダ
A│□□■
A│□□■
B│□□◆
C│□□■
このようになりAとCのムリをなくした結果、Bの無駄がなくなり、作業全体のムラがなくなります。
ほかにも工程を3つでは無く2つに分けるなど、人的リソースに合わせて柔軟に考えて行くことも大切です。